第1回(2004/10/20)


道 清 吉 美 さん

従来主義を打ち破れ!
新技術投入で名古屋港のウオーターフロント開発や、あおなみ線建設を成功させたプロジェクトリーダー



■ 経歴
昭和40年 土木工学科卒業
 同 年  名古屋港管理組合 入庁
平成14年 同企画調整室計画課長
平成15年より財団法人名古屋港緑地保全協会
 技術およびシーサイド統括部長
平成14年度衣笠会会長、現在顧問

■ まずは愛知県衣笠会30周年記念事業の企画から伺いますが、29回総会(H15)でスーパー中枢港湾名古屋港からセントレア、 あわせてITS国際会議や、新設されたあおなみ線の見学会を提唱されたことが今回実現します。 この呼びかけの趣旨は?

⇒ 現在、母校の立命館大学が飛躍的に伸びている。 週刊東洋経済の「本当に強い大学2004年版(H16.10.9)」でも総合1位に輝いた。 衣笠会の会員も個々には活躍されているが、世間にアピールすることがいまひとつ少ない。 学会や業界の活動でリーダーシップを取り広く世間にアピールする人が出てきてほしい。 万博が行われる愛知県においても、理工学部60周年(H11)のようなイベントを開催し、愛知県衣笠会のパワーを示すとともに、 会員の皆さんには視野を拡げていただきたいと考えた。

■ 昭和40年の入庁以来、主に携わられたプロジェクトは?


●S40年代:高度成長時代・名古屋臨海工業地帯土地造成
名古屋港の南部の地盤の強いところには重化学工業を、西部の軟弱なところには物流産業を誘致するため、 原料の輸入と製品の輸出のための大型船が入出港できるように航路・泊地を浚渫し、 掘った土で土地造成(埋め立て)を行うという効率のよい事業を実施し、今日の名古屋港の発展の基盤を創った。

●S50年代:環境重視時代(高度成長の後始末)・公害防止対策事業
重金属を含む有害汚泥の処理。(ヘドロの除去並びに封じ込め対策)

●S60年代:ウオータフロント開発時代(親しまれる港づくり)
ガーデン埠頭の整備、臨港緑地、ポートビル、名古屋港水族館などの企画・実施。 特に水族館は映像技術を駆使した最新の展示施設とした。

●H5年〜:港と都心を結ぶ・臨海高速鉄道あおなみ線の企画・建設
金城埠頭を再開発し、港湾中枢管理及び国際交流の拠点として人を集める。 人の輸送(人流)には港に鉄道が必要と、あおなみ線を企画、予算の獲得に知恵を絞った。


■ どんな夢を持ってやってこられました?

⇒ 港湾において誰もやっていないこととか、どこにもないユニークな施設を造ることを目指した。
公害対策では、水島や水俣など各地の公害対策状況を調べ、独自の対策工法を研究し、汚泥封じ込め工法とか 圧密脱水工法を採用した(この意欲が認められ、以後、港湾の施設建設にとどまらない各種プロジェクトのリーダーと しての道を歩まれる)。
名古屋港水族館ではどこにもない展示施設を作ろうと、世界の博物館・水族館を見て回った。そして最新の科学技術を 駆使したオーシャンシアター等の展示施設を導入した。
あおなみ線では貨物鉄道西名古屋港線を活用するとともに、金城埠頭までの延伸を計画し、日本で初めて鉄道構造物 耐震設計の性能設計採用や、基礎工に回転圧入鋼管杭を採用するなど新工法への対応でコストダウンを図った。
どの事業に関わっても、名古屋港は進んでいると自負したかったし、キャリアには負けたくないという意地もあったと思う。


■ 苦労されたことは?

⇒ やりすぎということで誤解を受けたり、バッシングを受けたりしたが、そんな時はB型人間の楽天的な性格で、 失敗を恐れずやるだけやってみるさ、という開き直りの気持ちで進んだ。 公金を使ってやるんだから、新技術・新工法の採用については情報収集に精力をそそぎ、理論的にも確信が持てる まで調べてから対応した


■ 座右の銘は?

⇒「タフでなければ生きては行けない。優しくなければ生きる資格はない」
前例、従来主義にこだわらず新しいことに取り組むには、精神がタフでなければと思っている。


■ 衣笠会の若いメンバーへのメッセージやアドバイスなどありましたら?

⇒ やはり従来主義の打破を伝えて行きたい。 温故知新という言葉があるが、幅広い情報を収集し新しいことに勇気を持って取り組んでもらいたい。
また、今度の見学会でスーパー中枢港湾名古屋港を見ていただきたいということは、単に港湾の基本施設を 整備しているだけではなく、名古屋港が海・陸・空の交通の要衝となり、中部は日本の主要産業が集中するところ、 日本経済の将来を支える意味でスーパー中枢港湾に指定され、国の予算が重点投資されるわけで、港湾の重要性を ぜひ理解して頂きたい。


■ 趣味は?

⇒ 山歩きとゴルフ。
かつては三浦雄一郎の門をたたき、富士山頂からのスキー滑降にチャレンジしたこともある。
(趣味の分野でも、誰もやらないことをやる意気を見せられる)

■ 御家族は?

⇒ 妻と娘の3人家族。

インタビュー:2004.10.15 吉田(S55)・野村(H15)

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